自燈明・法燈明のつづり

思いついたら書くブログです

山の牧場(別の話)①

さて、前のミステリー話は中山市郎氏や北野誠氏の体験談で、場所も兵庫県の山奥の話でした。

しかし他にも国内で似た話がもう一つあったのでご紹介します。

これは怪談師の「いたこ28号(北極ジロ)」のYOUTUBE番組「怪談馬鹿32夜」で紹介されていた話です。

この話は同じ怪談師の「竈猫(かまどねこ)」氏の体験した山の牧場の話で、舞台は北海道の苫小牧で1995年頃の話だと思われます。そうなると時期的には中山氏の山の牧場の話と重畳する時期の話の様に思えます。

◆事の始まり

この話は中山氏の「山の牧場」と被る事から、発表当時、かなりボロクソに言われたと竈猫氏も言っていますが、事の発端は、竈猫氏が怪談好きの中学二年の時の事、当時、竈猫氏の家庭教師がたまたま息抜きで「この問題が解けたら良い処へ連れて行ってやる」という話から始まりました。

中学二年生の男子が「良い処」というと「お、そっち系かな」とワクワクしてしまい、そういう時に限って難しい問題が解けてしまうものだったそうです。「先生解けた」と竈猫氏が言うと先生は「ちっ、、しょうがねぇなあ」と言い、「連れて行ってやるよ、お化け屋敷だ」と言われ、怪談好きであった竈猫氏は喜んだそうです。

「先生、どんな所ですか?」

竈猫氏が尋ねると、先生は「うちの学校の近くにあるお化け屋敷だ」という事で、何でも先生の友達に自称霊感のある奴が居て、彼が言うには学校から少し離れた処に怖い処があって、そこから夜な夜な色んなものが来るので、寮にはニンニクだなんだと色んなものをぶら下げているという事でした。

「ニンニクってドラキュラじゃないんですか?」

竈猫氏が聞くと、その先生の友人が言うには、ニンニクは普通の幽霊にも効くという事だったそうです。

そして先生の車の乗って移動したそうですが、そこは竈猫氏の住む地域(苫小牧市)から更に山の中に入っていった、本当に何にも無い処だったそうです。竈猫氏の自宅から舗装された道路を車で20分ほど走った場所で、途中から舗装道路をはずれてジャリ道へと入っていきました。そしてほんの少し走った場所で「ここだ」と先生が車を止めた場所で、見るとそこは牧場の廃墟でした。

この場所は右手側にかなり荒れた母屋と思われる廃墟があって、道を挟んで対面に恐らく動物を入れてあったであろう牛舎がありました。この日は夜で真っ暗だったので、さすがに怖くて車から降りる事は出来なかったそうです。

この話を翌日、竈猫氏は学校で友達に話をしたところ「すっげー見に行きてぇ」という話になり、物好きな仲間が集まってきました。大体、中学生というか思春期の男子は、女の子の話か、こういったわけの分からない話が大好きなもので、みんなでその場所に行く事になりました。

山の牧場

しかし中学生なので移動は自転車で、場所的にも自分の家が一番近かった事から、竈猫の家にみんなが集まっていく事になりました。時期は11月の頃だったそうで、行ったのは土曜日でした。当時の土曜日はまだ週休二日ではなく半ドンだったので、学校が終わり、各々が食事を取ってから出かけたそうです。出発は何かとやっていて時間が経ってしまい、午後三時に出発しました。

自転車での移動なので結局、現場に着いたのは午後四時をまわってしまい、もう「逢魔が時」でとても怖い時間に現場に到着してしまいました。着いた時、友達の一人がポツリと言ったのが「何か悪魔の棲む家みたいだな」という言葉でした。

牛舎の佇まいが丁度そんな感じに見えたのです。夕暮れで視界が茶色い時間で、もう怖くて仕方がない雰囲気だったのですが「母屋の方から入ってみようぜ」という事になり、四人で母屋の方に入っていきました。

玄関の引き戸をあけて入って見たのですが、部屋の中は生活感がそのまま残っている様な感じで、お風呂場なんかは五右衛門窯の風呂で「となりのトトロ」に出てくる様なものでした。また古めかしい冷蔵庫もあって、中を開けると食物だったらしい残骸も残っていました。居間の方を見に行くと和室となっていましたが、ところどころ畳が無い状態で、床板が見えていました。この居間には小学生の学用品なども散らかっている状況だったんですが、いい加減に怖くなり「帰ろう」という事で、みんなで外に出ました。

外に出て気付いたのですが、どうやら床下に地下室みたいなものがあるらしく、土台が少し高くなっていて窓がついていました。家の周囲を見回ってみたのですが、入り口の様なものはどこにも無く、家の中の階段の裏に小さな扉があって、そこをケリ破ってみると小さな部屋があり、そこだけ床が妙に新しいものでした。友達の一人が床を踏みつけると撓むので、この下に入口があるのではないかと思ったのですが、その日は帰る事にしました。

その翌週月曜日に学校でこの話をしたら、新たに二人が「俺も連れていけ」と加わる事になり、合計六人で再度、その牧場へ行く事になりました。「今度は暗くなったら怖いから朝早く行こう」と、その週の土曜日の朝六時に竈猫氏の家に集まり行く事にしました。

当日の朝は晴れ渡りとても寒い朝でしたが、集まったメンバーはとんでもない姿で集まりました。一人はツルハシを持ち、剣先スコップやら木刀、金属バットにガス銃。竈猫氏もガス銃にタンクを背負っていました。「よし!行くぞ!」という事で、中学生として出来る限りの武装をして皆で牧場に向かう事になりました。

◆再度、山の牧場

六人の武装(?)した中学生たちは、自転車で山の牧場を目指しました。途中、冷え切った体をコンビニに立ち寄り、ラーメン食べて温めて進みました。そして目的地である山の牧場に着いたのですが、やはり明るかったので前の様に恐怖感はありませんでした。

現場に着くと右手に母屋(廃墟)、そして道を挟んで左側に牛舎となっているのですが、竈猫氏は牛舎の中はどうなっているのか見てみたいと牛舎に向かいました。

牛舎を見ると上の方に明り取りの窓がありました。そこで壁際に自転車を立てかけて、明り取りの窓から中を覗きました。すると中は牛舎ではなく、まるで理科室の様な部屋になっていて、どう見ても牛舎を壁で仕切り、三分の一でその理科室の部屋を作っている様な構造でした。

牛舎というのは、普通もの凄く臭いので、そこに部屋を作る事なんてありえないのですが、何故が壁で仕切られてそんな部屋が造られていました。また部屋中には棚に入っていたであろう瓶のかけらが落ちていて、中身であったろう黒いものが床に散乱しているのが見えました。すると仲間が来て「これからどうする?」と聞いていたので、人数を分けて分担して周辺を探索する事にしました。

「牧場の周りを見てくる」

そう言い、バットと金属バット組(仮にA,Bとします)の2人が周辺へ行き、「じゃあ俺たちは(廃屋の)床をブチ破る」ツルハシ組(仮にC,Dとします)が廃屋へ行き、竈猫氏ともう一人(仮にEとします)は「俺たちは(廃屋の)2階へ行こうか」という事で廃屋の2階へ向かいました。

廃屋の外観はとても荒らされており、2階も1階もサッシごと破壊されている感じで竈猫氏とEで廃屋の2階へ行きました。

廃屋の2階へ入ると中は薄暗く、Eが懐中電灯を点けると床の間の様な所に「骨壺」の様なものがあり気味が悪かったので、それはそのままにして1階へ降りて行きました。そこではツルハシ組が「ドスン・バタン」とストレスを発散する様に作業をしていましたので、竈猫氏とEは「俺たちは牧場の方を見てくるわ」と彼らに告げ、廃屋を出て牧場の方に向いました。

牧場へ向かうと金属バット組の二人が変な顔をして戻ってきて。

「いや、ここ変だ」と二人が言ていました。「変て何が?」と聞くと「変な道があるんだよ」と言うのです。「どんな道?」と聞くと「いや、恐らく獣道だと思うんだけど、何か変なんだよな」との事。

彼らも竈猫氏も田舎の山育ちなので、変な道でも見分けがつくので「どんなの?」と聞くと「この間テレビでやってたミステリーサークルってあるじゃん。あれみたいに草が生えている」と言うのです。「え?渦巻でも巻いているの」と聞くと「とにかく見たら判るから来い」と言うので、その2人の後に付いていきました。

そのの場所はススキ原で11月なので草は枯れていました。しかし奥からは川の水の音がするのです。彼らが「ほら見てみろ」というので見てみると、草がU字型に生えているのです。このU字型とは、本来は真っすぐ生えている処、根本から曲がっていて逆アーチの様に曲がって生えているのです。11月で草枯れしている状態でこんな感じなので、これは枯れる前からこの状態なのかと思いました。

ここで一旦、竈猫氏は廃屋へ戻りそこに居たツルハシ組に「奥へ行ってくる」と言い、再度牧場に戻り奥へと進みました。するとツルハシ組の双眼鏡を持った奴が後ろからついてきていたのですが、そいつが双眼鏡を覗いていて「うわ!!」と、何とも言えない声を発したのです。

みるとそいつは腰を抜かしかけているので「何?どうした?」と声をかけると、そいつは指さしながら「あれ!あれ!」と言うので、その指を指した方向を金属バット組が見ると「うお!!」と声を上げました。竈猫氏もその指の指す方向にある獣道の奥を見ると、獣道の奥がカーブになっていて、その先から何かがひょいっと、こちらを見ている存在がいました。

「何だろう」と竈猫氏がよく見てみると、ツルツルの肌感で、身長が120センチほどの白目の無い大きな黒い吊り目の何かがこちらを覗いていました。竈猫氏は反射的にその生き物にガス銃を乱射したのですが、ふと周囲を見ると金属バット組の他のメンバーはとっくに逃げ出していました。竈猫氏は「お前ら!こいつを置いて逃げるのか!」と腰抜かした双眼鏡のメンバーをひっ捕まえて、急いで廃屋の方へと駆け出しました。

廃屋の方へ行くと、ツルハシを奮っていたメンバーに「おーい!」と声をかけると、彼らも何か不思議そうな顔をして廃屋から出てきました。竈猫氏は「ここは何か変だ!変なのがいる!」と彼らに言うと、「いやいや変なのもそうだけど、こっちも変なんだ」とツルハシ組は言いました。

竈猫氏は「いやいや、もうそれどころでは無いから帰ろ!帰ろ!」と言うと、ツルハシ組が「いいから、いいから、ちょっと見に来い」と言うので、後について廃屋へと入りました。そうして彼らがツルハシを振るっていた廃屋の中の階段裏の小部屋の床下を見ると、そこには「穴」がありました。

その穴はパッと見て土管が斜めに刺さった感じの穴でした。深さはとても深く、石を投げると「カーン、カーン、カーン」と地下深く落ちていくので、もし落っこちたら上がってこれない様な穴なのです。

「ところでお前らはどうしたの」とツルハシ組に聞かれたので、先ほどの状況を話をすると「そりゃ捕まえるべきだろう!」なんて言い出したのですが、とりあえずこの牧場を撤収する事にしました。

これが竈猫氏の中学生時代に体験した事だったのです。

◆中山氏の牧場との比較

中山氏の山の牧場の話には、ここまで具体的ではありませんが近隣の話としてUFOの話も出ていました。あと牧場の形はしていましたが、実は牧場と異なる目的も垣間見えたりもしています。

この話はもう少し続きますが、それは次回に。