
今回は以下の記事に関連した内容となります。
ここではエベン・アレクサンダー医師の臨死体験について紹介します。
・エベン・アレクサンダー
アメリカの脳神経外科医、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を卒業後、1980年にデューク大学で医学の学位を取得し、ハーバードメディカルスクールで15年間准教授を務める。
2008年11月に細菌性髄膜炎により1週間昏睡状態になり、その時の臨死体験を「プルーフ・オブ・ヘブン」としてまとめた。
YouTube等を検索すれば、「臨死体験」については、山ほど検索されてきます。この数多ある臨死体験の中には、きわめて興味深いものが多くありますが、ここでまずエベン・アレクサンダー医師の経験したものをご紹介いたします。
このエベン氏の体験で何が興味深いかと言えば、彼は今現在でもアメリカの脳神経外科医として活躍していますが、医者という立場で自身が臨死体験の時の状態を診断しながら臨死体験という事についてアプローチしている事です。
三世(過去世・現世・未来世)の生命観と言っても、まずは死有の代表例についてここで幾つか紹介をしていきながら、考察を進めていきたいと考えています。初回はまず、エベン・アレクサンダー氏の体験について紹介いたします。
◆プルーフ・オブ・ヘブンにある臨死体験
一体エベン氏はどの様な体験をしたのか、ここでかい摘んで紹介をしていきたいと思います。もし詳細な内容に興味がある場合には、彼の著書「プルーフ・オブ・ヘブン 脳神経外科医の見た死後の世界」を読んでみる事をお勧めします。

事の始めは2008年11月10日、エベン氏がバージニア州の自宅で痛みで目が覚めたが事から始まります。
実は前日から体調も悪かった様ですが、恐らく風邪によるものとエベン氏は考えていて、お風呂で温まったところ症状が緩和されたので、この時もお風呂で温まれば症状は治まると考え入浴しました。
しかし入浴しても症状は改善するところが悪化してしまい、朝7時半頃には心配した子供がエベン氏の頭のこめかみを軽くマッサージしたところ尋常ならざる激痛に襲われて意識を失いました。
その後、エベン氏は救急車でリンチバーグ総合病院の救命救急室に運び込まれました。この時のエベン氏は激しい痙攣と間欠的なうめき声をあげていましたが、これは脳に重篤な障害が起きており、回復不能となる損傷が進行していた事を示していました。
この時、担当医師は脊椎穿刺を行い、脳脊髄液を採取しました。通常、脳脊髄液は無色透明なのですが、この時のエベン氏の脳脊髄液は白濁し、僅かに緑色かかった粘着性の液体であったと言います。これは大腸菌感染による大腸菌性髄膜炎の状態で、既に重篤な状態であった事を示していたのです。
・臨死体験
この時、エベン氏は暗闇の中にいました。そこは泥のゼリーの中に閉じ込められた様に感じる場所で。エベン氏も意識はあるのですが、自意識のない意識だったと言います。また音も聞こえていましたが、どこか遠い場所でリズミカルに響くズシンとした振動の様な音で、心臓の拍動音に似ていたと言います。
この時のエベン氏自体に体はありませんでしたが、肉体が無いままそこにいる感覚でした。また時間感覚も無く、一体どのくらいそこに居るのか見当もつかない状態でした。
その汚泥の中からは、グロテスクな動物たちが顔を出し、吠えたり甲高く叫んだりしては、また泥の中に引っ込んだりしている感じでした。また時間が経つと臭いも漂っている事に気付き、それは血のような排泄物の様な臭いだったそうです。
こうなると、ここを出なくてはと思いましたが、何処へ出るのかが分からないでいると、上方の暗がりから何かの姿が現れて来ました。それは死とも無縁な、また暗さとは正反対なものでした。

闇の中から何かの姿が現れ、それはゆったりと回転しながら金色がかった絹糸の様な白い光で、周囲が照らし出されると、周りの闇が崩壊し始めました。
そして初めて聞く旋律も聞こえてきました。生きた旋律、それは妙なる調べと言う表現があっていました。光はぐんぐんこちらに迫って来て、光の真ん中には何か別のものが出現してきました。
それを観ようと意識を集中させると、物凄いスピードで上昇し始め、開口部をくぐり抜けると、そこには見たことの無い別世界が広がっていたのです。
そこは眩しく輝き、活気に満ちてうっとりする様な情景であり、言葉では言い表せない景色でした。下には田園風景が広がり、青々と瑞々しい緑の地面が広がっています。エベン氏は木や野原、小川を見下ろしながら飛んでいました。眼下の景色のあちらこちらに人の影も見えて、楽しそうに遊んでいる姿も見えました。そしてこれはけして夢ではなく紛れもなく現実であると感じてたのです。
どれほどの時間、飛び続けたのかはわかりませんが、ふとそばに誰かが居るのが解りました。それは深いブルーの目をした頬骨のたかい美しい女性でした。眼下に見える人達と同じ服を来ていました。エベン氏もその女性もひらひらとした複雑な模様の蝶の羽根に乗っていたのです。
この女性はエベン氏に言葉を介さず話しかけてきた。
「あなたは永遠に、深く愛されています」
「恐れるような事はなにもありません」
「あなたのする事には、ひつとも間違いはないのです」
そして女性は語り続けました。
「ここで色々な事を見せてあげましょう」
「何れ帰ってもらいますけど」
そこには一面に雲が浮かんでいました。吸い込まれそうな濃紺の空をバックに、薄桃色の巨大な雲がくっきりとしたコントラストを際立たせていました。上空からは聖歌の様な荘厳な大音響が響き渡っています。
そして光の玉が光の尾を引きながら飛び交っていました。エベン氏はその光る存在を現す言葉は言えそうに無い、鳥、天使、そのどちらでもないと感じました。それはもっと進歩した高等な存在だったのでしょう。この世界(臨死体験の世界)では、こちらの世界(現実世界)の様に言語機能は働いていません。エベン氏の問いは言葉を用いずに、即座にこの光る存在に問いかけられました。
「ここはどこですか?」
「私は誰なのですか?」
「なぜ私はここにいるのですか?」
これらの問いには電光石火で答えが返ってきましたが、それは言葉を介さず怒涛の様な思考で返ってきます。これは地上で体験する類の思考ではなく、曖昧さもなければ、筋が通り、観念的ではありません。この答えはふつうであれば理解するにも何年も必要とする概念が、不思議とこの時にはすんなりと腑に落ちました。
さらに先へ進んでいくと、広大な虚空の中に入っていきました。そこは果てしのない広がりが続く全くの闇でした。しかしそこは限りない安らぎを感じられる場所で。漆黒の闇であるにも関わらず、すぐ近くにいる光の球体の放射する光で満ち溢れていた場所でした。
そこにいる間、尚も質問と回答のやり取りは続きましたが、全ては言語という方法では返されません。この光(オームとエベン氏は呼んでいる)はエベン氏に語りかけたのです。宇宙は一つではない。お前の理解を超えるほど数多の宇宙がある。しかしすべての宇宙のその中心に愛を持っている。どの宇宙にも邪悪は存在しているが僅かでしか無い。邪悪が存在しなければ自由意志を持つことは出来ない。自由意志を持つことなしには発展は得られない。進歩が無ければ神が人類に対して願い続けていた事を、人類は達成出来ない。
またこの時、エベン氏はその場所で、無数の宇宙に豊かな生命が息づいているのを見たと言います。そのなかには人類よりはるかに進歩した知性を持つものもいましたし、数限りない高次の次元がある事も知りました。そしてここで学んだ事を解き明かす作業は、この先の一生を加えて更に時間を掛けなくてはならない大仕事になると感じましたた。ここで得た知識は、数学や歴史の原理や定理を学習して得られる性質のものではなかったのです。
そしてエベン氏はまた何者かに捕まれ(誘導されたという感じ)、そこから出た後、また田園風景を飛び始めていました。行き先は最初にいた暗闇だというのがこの時は解りました。はじめに女性からは。
「何れ帰ってもらいますけど」
その言葉を思い出していました。そして飛び続けた先の暗い闇の穴へ戻って行きましたが、その時には初めにあった様な不安はなく、ここで知った事を生涯かけて解き明かす作業をしなければならないと思っていました。
(続く)
【参考文献】
「プルーフ・オブ・ヘブン 脳神経外科医の見た死後の世界」 エベン・アレクサンダー著