
年明け早々に世界は大きな変革期の姿を現わしています。
本年1月3日未明、アメリカはベネズエラに対して大規模な軍事作戦を起こし、マドゥロ大統領夫妻の身柄を拘束し、アメリカへ移送、アメリカで裁判に掛ける事が報道され、あわせて今後のベネズエラの内政はアメリカが「運用する」と発表しました。
「統治する」ではなく「運用する」という言葉に、アメリカのこ狡さを感じているのは私だけなのでしょうか。
今回のベネズエラの問題について、解りやすくまとまったマンガを見つけましたので以下に紹介します。










ベネズエラの近年の歴史を少し調べてみました。
・石油以前経済
ベネズエラ経済は石油産業に過度に依存しており、1976年の石油産業国有化後、原油価格の変動の影響を大きく受ける体質が続きました。
・チャベス政権(1999年~)
ウゴ・チャベス政権は、石油収入を社会福祉プログラムに宛てる「21世紀の社会主義」を掲げましたが、外資系企業の資産接収や不適切な管理によって、石油インフラの老朽化と生産量減少を招きました。
・マドゥロ政権(2013年~)
ニコラス・マドゥロ政権下では、経済危機はさらに深刻化しました。原油価格の暴落や、食料・医薬品などの生活必需品輸入への外貨優先配分による他産業への打撃が重なりました。
・ハイパーインフレと制裁
経済政策の失敗によりハイパーインフレが発生し、GDPは2013年から2021年の間に75%以上縮小しました。米国などによる厳しい経済制裁がこれに追い打ちをかけ、国家の経済的孤立を深めました。
・人道危機
極度の貧困が深刻化し、国民の大多数が貧困ライン以下での生活を余儀なくされ、多くの国民が国外への避難を余儀なくされるという人道危機に発展しました。
この様な状況でもあるので、ベネズエラ国民の中には以下の様なメッセージを発信し、今回のアメリカの軍事侵攻を歓迎する国民も多く居るようです。
世界のサヨクへ、ベネズエラ女性からの痛切なメッセージ
— 椎井蹴人 (@Cait_Sith_co) 2026年1月4日
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独裁政権を経験したことがないなら、黙ってて。30年もクソな体制の下で生きたことがないなら。「アメリカがどうこう」じゃない。私たちは自分たちの事情をわかってるから、何も言わないで。ありがとう
pic.twitter.com/i4JQwyKBAn
◆民主主義国家について
過去の人類史を見てみると、独裁者とは民主主義を苗床として生まれる事は良くあります。現在のベネズエラにしてもチャベス大統領以降の独裁政権を生み出した原因とは、ベネズエラの国民であり、そうであれば国家の矯正は基本、ベネズエラ国民が行わなければならなかったのです。
本来であればベネズエラ国民が正規の民主主義の手続きによって、マドゥロ大統領を退任させ、国家を正常に戻せる指導者を選択し、国民自身の手で国内政治を戻さなくてはならないのです。
しかしながら実際には2024年の大統領選挙を見ても、これは不正や不透明性が諸外国から指摘されるほどであり、実際にはEUは2024年の大統領選挙を承認しておらず、アメリカのマルコ・ルビオ国務長官も「この政権は選挙によって正統性を持っていない」と発言している様な状況です。
要は独裁政治というのは、始まってしまった時には、国民の努力だけでそれを止めさせるというのは非常に困難な状況にもなってしまうのでしょう。
この様なベネズエラ国家状況の中、アメリカは「麻薬密売」という事を大義名分として今回の軍事作戦を決行し、マドゥロ大統領を拘禁し、アメリカの国内法で裁判に掛けるという大技に打って出たという事であり、それによりベネズエラ国民の中にも独裁政権が倒れるのではないかと期待を持ち、先のベネズエラ女性の発言にもなったのでしょう。
しかしアメリカがいくら軍事介入をして現政権を倒したところで、ベネズエラ国民自体に変化が起きない限り、やはりベネズエラの国は今後も同じような独裁政権が誕生する事も充分に考えられるので、場合によってベネズエラの国内状況はより悲惨な状況へと追い込まれてしまう可能性もある訳で、そこの観点から考えても私はアメリカの今回の軍事行動を全面的に支持する事は出来ないのです。
民主主義とは人類数千年の歴史の中で、編み出された国の制度だとしても、けして完璧な制度ではなく、やはりその制度を今の人類はうまく運用できるだけのレベルにはまだ至っておらず、まだまだ進化途上とも言うべきなのでしょうか。
◆アメリカの思惑とこれからの世界
アメリカのトランプ大統領にしても、彼はアメリカ合衆国という国家の大統領なので、行動の根本原理には「アメリカの国益」があるはずです。
その一つはいまマスコミでも言われている「ベネズエラの石油利権」であり、もう一つは中国に対するアピールかもしれません。
昨年から話題の「フェンタニル」という合成麻薬が、いまアメリカ国内で蔓延していますが、その原材料を精製しているのは中国武漢にある製薬企業である事が判明しています。中国が合成麻薬でアメリカを始めとした欧米各国の国力を削ぐ様は、まさに現代のアヘン戦争とも言われていますので、ベネズエラへの「麻薬密売」という理由はこの中国に対する強いメッセージを含んでいると思われます。
考えてみれば国連の常任理事国の五カ国のうち、ロシアと中国が似たような軍事スタンスを録る中に、今回はアメリカも同じスタンスを持って行動を起こしました。
これはやはりこれまでの国際社会の姿が大きく変化をしている事の表れであり、その国際社会の中で、日本はどの様な立ち位置でどの様な振る舞いを取らなければならないのか、再考すべき時期に来ていると思うのです。
日本は未だに第二次世界大戦後の冷戦構造の世界観のまま、国際社会を見る向きもありますが、既に世界はそんな世界では無くなってきている様なのです。
アメリカやロシア、そして中国は覇権国家の姿勢を明確化する中で、単に「憲法九条」を金科玉条に様に捉えて国際社会を見ていては、見誤ってしまうのではないかと私は最近考えているのです。